エコもエイリアン要素も消えた「エコ☆エコエイリアン」シーズン2開幕です。
今回も一話目のみ、シムの一人語り風による進行となります。
エコ要素もエイリアン要素も消えたため、シリーズを別けておりますが内容はエコ²エイリアンの続編です。
未読の方はこの機会に前シリーズに目を通して頂けますと話が少しは分かりやすい……かも知れません。
登場人物紹介
空いているマスはどうなるのでしょう。減らすのが面倒だった訳じゃありませんよ?
本当です。
ヴァンパイア未満のノーマルシム
もうずっと何を食べても満たされないや……これが飢えてるって感覚?
ああ、見苦しい姿を見せてすまない。
俺の名前はレイ・ブラッドレイ。イザヤ・ブラッドレイの伴侶だ。
最愛の伴侶の手で吸血鬼へと変化する道を歩み出した筈なんだけど、まだ体はノーマルシムのまま。
エイリアンのブレイン能力も失った上、酷い飢えに悩まされる日々が待っているなんて!
前もって説明は受けていたよ?
でも、話に聞くのと実感するのとでは全く違うなんて良くあるだろ。今丁度そんな感じ。
シム生の選択はもう少し慎重になった方が良いかもしれないね。俺はやり直しても同じ選択を選ぶけど。
だって彼のことが大好きなんだから。
俺が終わりのない飢えに苦しんでいる間、イザヤは何を思ったのか育児のスキル本を良く読んでいた。
彼は俺と同じか、俺以上に知的好奇心が旺盛なシムだ。
アルゴル父さんの記憶を覗いたことで興味が湧いたのかもしれない。
お世辞にも家庭的とは言えない彼と子作りなんて諦めていたけど、これは期待しても良いってことなのかな?
『レイ、君は本当にノーマルシムに変わったんだな。メールを受けた時は本当に驚いたよ』
『直接話に行けなくてごめん!ちょっと今……あまり調子が良くないんだ』
エイリアンからノーマルシムに変わったことは、アルゴル父さんに暗号化したメールで伝えてあった。
彼なら俺の仕込んだ暗号も楽しんで解析できるだろうからね。
本当は直接会って話したかったけど、今はあまり外出する気になれなかったんだ。
だってずっとお腹が空くのに、何を食べても砂や粘土を食べているみたいなんだ。
今も模造ミートボールを食べようとしているけど、味が全然分からなかった。
せっかくイザヤが俺のために作ってくれた料理なのに。
でもってイザヤ、君、どうしたの?
アルゴル父さんが来ているのに、なんで君は会話に混ざらないんだ?
『本題なんだが……君がエイリアンからノーマルシムに変わった方法を、教えて貰うことは可能かな?ケアヒたち人魚だけが見られるスラニの海を、私も見てみたいんだ』
『アルゴル父さん……っ俺、その気持ち、すっごく良く分かるよ。材料はまだ残っている筈だから、少し時間をくれる?』
今より幼い頃、俺もケアヒ父さんの泳ぐ海を知りたいと思って挑戦したことがある。
でもその結果はどんなに体を鍛えても、シュノーケルとフィンだけじゃ人魚の世界は覗けない。
そんな、悲しい現実を確かめただけだったっけ。懐かしいな。
今はイザヤの見ている夜を覗こうとして体調が最悪になっているけど、これは変化が約束されている挑戦だ。決して同じ轍を踏んでいる訳じゃない。
さて、なんだか機嫌の悪いイザヤをなんとか説得して薬を調合して貰わないと。
もしかして、話題が「人間化の薬」になるって気付いていたから機嫌が悪かったのかな?
ノーマルシムに戻ったアルゴル父さんをスラニに送っていくと、ケアヒ父さんは嬉しそうに人魚の海藻を渡していた。
もしかするとアルゴル父さんを見た瞬間、変化が分かったのかもしれない。
『イザヤ、父さん達に手を貸してくれてありがとう』
『感謝は不要ですよ。眷属の望みを叶えるのはマスターとして当然のことです……それに。私の手柄ではない知識を褒められたところで少しも嬉しくはありません』
俺にはまだ暗くてよく見えなかったけど、イザヤが言うにはアルゴル父さんはエイリアンだった時と同じように緑色の人魚に変わったらしい。
緑色の人魚と赤い人魚……またムア・ペラムの不思議な噂が増えそうだね。
暖かな太陽にさようならを
『い、イザヤ……ごめん。うまく、ウフフできなくて……』
『今は変化の途中で苦しいのでしょう?無理に激しい運動はするのはお止めなさい』
『でも、したかったんだもん』
『貴方……ご自分が語尾に“もん”などという単語を付けるのが、似合うシムだと思ってらっしゃるのですか?』
それはイザヤとのデート中のことだった。
シャワーでウフフ(互いに不満足だなんて!最悪だよ!!)をした後、猛烈な違和感に襲われたんだ。
『なっなにこれ!?イザヤ!!俺どうなってるの!!』
今まで感じていた不快感は準備運動だったみたいな最悪な気分に蹲ろうとすると、体が急に浮かび上がっていた。
『安心なさい。今、貴方の体は吸血鬼に変化しようとしているのです……何度経験しても、我が子が羽化する時ほど待ち遠しく、喜ばしい瞬間はありませんね!』
イザヤが何かを呟いていたみたいだけど、残念ながら俺の耳には俺自身の上げる悲鳴しか聞こえていない。
俺の体、なんでシャワールームなんかで変化しちゃったんだよ!
ブラッドレイ レイはヴァンパイアになりました!
ヴァンパイア・シムは渇きを感じ、普通のシムのブラッドを求めるようになります。
『吸血鬼ってこんなに体が軽いんだ!凄いな』
『軽くて当然でしょうよ。レイ、ご自分の腕が見えていないのですか?貴方の体は今、肉すら付いていませんよ……衝動的に砕きたくなるので今すぐ他の姿に変わりなさい』
冗談かと思ったけど、自分の腕を見たら本当に骨しかなくて驚いたよ。慌てて擬態を作る感覚で別の姿をイメージしたよね。
骸骨を衝動的に砕きなるなんて、何があったんだろう?
『この姿で大丈夫?』
『似合っていますよ。桃色の髪はお止めになったのですか?』
『吸血鬼の姿を想像したら君が真っ先に思い浮かんだんだよ。マイマスター』
銀河に浮かぶ星雲のような自分は残念ながら出てこなかった。紫の肌も桃色の髪も思い出せるけど、吸血鬼の姿として想像できなかったんだ。
きっとこの体に流れる吸血鬼の血が不釣り合いだと思ったんだろう。
肌の色こそスラニの住人みたいだけど、とても脆い肌に変わっていたらしい。
目と鼻の先にあるバーから帰ってくるだけで肌が焼け焦げていたんだ。
俺の焦げる肌を見たイザヤが、吸血鬼としてのトレーニングを買って出てくれた。
でも、困ったことに感覚派なトレーニング方法は少し……かなり、俺の好みから外れていて理解できそうにない。
『その、さ。もう少し言語化して教えてくれない?感覚論じゃなくてさ』
『何を言うのです!貴方には私の血が受け継がれているのですから分かる筈ですよ』
『確かに入ってるよ?物凄いデータ容量した君の記憶がね!!断片だけなのに今にも処理落ちしそう!』
イザヤは俺の想像を超えた時間を生きていたみたいだ。
吸血鬼として覚醒した俺の体はマスターである彼の知識を幾つか引き継いでいた。
見知らぬシム達を愛おしそうに眺める彼の記憶を見つけ、少しだけ妬けたのは秘密だ。
サンシェード・カクテルを飲めば一時的に太陽への耐性を得られると、前にヴァンパイアの情報を調べた時に知っていた。
でも職場に行く前にお酒を飲むのはちょっとね。
という訳で、翌日の仕事はイザヤの提案を受け入れ、休むことにした。
それに残念ながら、俺はまだニンニクへの耐性もないんだ。
ニンニク入りのカクテルなんて、想像しただけでウンザリするよ!
イザヤに抱きしめられても跳ねる鼓動がなくなった体は、彼と同じ体温をしているらしい。
以前は冷たかった彼の手がどこか温かいように感じた。
『あの太陽のように熱い体温がないからでしょうか。貴方の隣は以前より落ち着きますね』
『今まで落ち着かないシムの隣に居たの?』
恋愛ソーシャル中、急に感情コントロール一歩手前まで来るシム初めて見た(プレイヤー)
俺が日光耐性を得るには一日かかって、もう夜になっていた。
吸血鬼じゃなければ途中で仮眠をとって進捗が遅れていただろうね。
その間、イザヤは恐ろしい目に遭いかけたらしい。
「一瞬また隕石かと焦りましたが、慌てて誘拐阻止の妨害電波を出しましたよ」と語っていた。(オブジェクトリセットかけてからパラボラアンテナを操作しました)
そう言えば彼は隕石を受けて転生する羽目になったんだっけ。
「ウェアウルフが小型の望遠鏡でシグザム星を見つけたなら、吸血鬼も新しい星を見つけられるのではありませんか?」そう言われて高価な望遠鏡ではなく、安物の望遠鏡を使ったらしい。
それを安い挑発だと思うのは、俺が生まれたての吸血鬼だからなのかな?
トゥルー・マスターは家族を知りたい
『イザヤ。俺は何も意地悪で言ってる訳じゃないんだ。君には無理だって』
俺が太陽耐性を得て、イザヤがエイリアンから誘拐されかけた日の夜更け。
イザヤはいつもの……いや、いつもより困った我儘を言い出した。
『挑戦する前から無理だと否定するのは弱者の言い訳ですよ。そもそも、アルゴル義父君は貴方を産めたではありませんか!ならば私にも同じことができる筈です』
確かに可能ではあるんだ。
男性シムを妊娠できる体に変える技術は何もシグザム星の専売特許という訳じゃない。この星にも同様の技術がある。
でも、例に出されたアルゴル父さんは遭難してもスマートに対処できる、かなりストレス耐性の高いシムだったみたいなんだ。
イザヤみたいに潔癖症でプライドが高いシムが、妊娠・出産という過酷な試練に耐えられるのだろうか?
母体に掛かる負担は男の俺でも知っている。
言葉を選ばねばと思った矢先、「無理だ」という強い否定を口にしてしまった。そんな説得では逆に躍起になると気付いたのは、口から言葉が滑った後のことだ。
『イザヤ、落ち着いて考えよう?何も君が苦しまなくても俺たちは子どもを授かれるんだよ?今はサイエンスベイビーという手段だってある。それでも原始的な方法に拘るなら俺が産む。鍛えているからきっと安産だよ」
半分冗談だったが、半分は本気だった。
それまで俺たちはベッドの上での役割が安定していなかったのと、どうやら俺のサイズはイザヤにとって負担だったらしい。
ケアヒ父さんも大きかったから遺伝なんだろうな。
どことは言わないけど!
『その程度の知識なら持っておりますよ!全てを調べ尽くした上で私は自分の身で、シムとして、子どもを産み、育てる経験が欲しいのです。でなければ実感が得られません!』
この日はそれ以上、この会話を進めることは諦めた。
イザヤが自分が産むことに拘る理由を、彼から引き継いだ記憶の断片は何も語らない。本人から聞かないといけないみたいだ。
交渉決裂、されど本日も出勤
確実に俺はイザヤの機嫌を損ねた。
眷属としての俺が仕事を休み、マスターの機嫌が直るまで謝罪を続けろと意見している。
でも、恋人として長くない時を過ごした俺は一度距離を取るべきだと考えていた。
俺も彼も異なる意見を持つシムなんだから、必ず気が合う訳じゃないんだ。
冷静になって昨日の話を思い出し、俺の伝えたい言葉を探した方が良い。
『死神の友達になれる薬、か……一番顔を合わせたくない相手じゃない?』
そういえば研究所に勤めるようになって以来、薬はいつも自分で試していた。
特に深い意味やこだわりがあった訳じゃない。
サンプルに大きな振れ幅があるんじゃテスターの意味がないだろ?
健康体を常に維持している自分で試した方が、結果の計測が楽だろうと思ってのことだったけど……待て待て待て!
まだ俺は死ぬ予定じゃないんだ!
『死ぬ気がない……?ならば間際らしい真似をするな!』
『イタタタタッ!!いや、そのっ。これは俺も予想外の結果で』
『言い訳不要!!!』
思い切り叱られた上、どこに逃げても付いて来るから今日の仕事は生きた心地がしなかったよ!
ちなみに悪人でロマンチストらしい。
死神にもロマンスに思いを馳せる相手が居るの?
しかし実感か……俺は生まれた時からケアヒ父さんが愛情を注いでくれた。
きっとアルゴル父さんも俺を愛してくれたんだろう。だから記憶がなくても彼を父親として慕えるんだと思う。
天才を自称できるシムに育ててくれた天才が居なきゃ、今の俺はいないからね!
でも、イザヤは違ったのかな?
そう思うと、なぜか腑に落ちる気がした。
俺が謝罪の言葉と会話の切り出しに迷いつつ帰路に着くとイザヤはファッション・インフルエンサーの仕事を始めていた。
待って。子作りの話はどうなったの?
まさか子育てしつつ兼業する気じゃないよね?
俺たち育児ビギナーなんだよ?
天才だからこそ分かる。それは無謀すぎるって!
和解の冬祭り
『ところでレイ。今日は何の日かお忘れではありませんよね?』
『えっ……ダンベル降ろすから少し待って!』
話しかけにくくて翌日になってしまった。
でも、イザヤから話しかけてくれる良い切っ掛けになったのかも知れない。
彼は会話の主役になるのとリードするのが好きだから。
『今日は冬祭り、だろ?デートに行こうよ』
『貴方が祝日を忘れない年がくるとは予想外でした。もちろん行きましょう』
当然だろ。
日付が変わっても話しかけられなかったら、冬祭りを建前に誘おうって思っていたんだ。
『先日は貴方に強く当たってしまい、申し訳なく思っています。貴方は、レイは私の眷属である前に伴侶だというのに……あれは、パートナーへの態度ではありませんでしたね』
まさか先に謝られるとは思ってなかった。
俺は別に怒っている訳じゃない。イザヤの拘りが分からないことに困っているだけだ。
それは落ち着いて話し合えば分かるだろう。また喧嘩しても、また仲直りすれば良いんだから。
『俺からも、ごめん。イザヤへの負担だけ気にして、なんで君が自分が産みたいのかを全然考えていなかった』
『これは』
『スカーフ付きセーターを編めるまで頑張ったんだ。赤ちゃんのおくるみも編めるよ。君が産みたいなら、俺は頑張って君のサポートに回る。イザヤが俺を助けてくれたように、今度は俺が君を助けさせて欲しいんだ』
『……綺麗な編み目のセーターですね。衣服から得る温もりの分からぬ身を、初めて惜しく思いましたよ』
『お揃いを着ようよ。暖かさは分からなくても手作りのお揃いって特別感がない?』
『ふふっ、素敵な提案ですね。では、私も貴方にセーターを編みましょうか』
いつか生まれる子達ともお揃いを着れたらもっと素敵だろうな。
でも反抗期が来たら着てくれなくなるんだろうか?想像したら今から泣きそうになった。
『今度から気分だからとかじゃなくて、毎回俺にイザヤを抱かせてよね?』
『常に優しくあやすように抱き、翌日の私を介抱して下さるなら構いませんよ』
『わかった。お姫様みたいに扱ってあげる』
俺の知っているお姫様なんてイザヤしかいないから、合っているかなんてわからないけど。
ちなみに、ファーザー・ウィンターは俺のブラット発泡酒を全部飲み干す勢いだったので、初めてヴァンパイアの力を使って帰した。
俺もイザヤから新しい指輪を貰ったし、今更ファーザー・ウィンターからプレゼントを貰えなくたって構わないんだ。
というか、俺はブラッドフルーツを吸血鬼化する前に吸ったら気持ち悪くなったのに!
なんでアイツ大丈夫だったの?!
一緒に親になろう
それは冬祭りの翌日のことだった。
デートの帰りに『吸血鬼らしい子作りをしましょう』とイザヤから提案を受けたから、興味が湧いて受け入れたんだ。
子作りって言っても一度で成功する訳じゃないからね。
俺は中庭で誘われたのを疑うべきだった。まさか蝙蝠化してウフフするなんて……。
なんでゴミ収集箱でのウフフはダメで、蝙蝠化してウフフは良いんだ?俺はイザヤの線引きが分からないよ。
開放的でちょっと楽しかったけど!
イザヤに笑顔で「早く出て行ってください」と怒られて、初めてトイレに付いて行ってしまったことに気付いた。
どうやら初めての子作りを終えて俺はかなりテンパっていたらしい。
『レイ、朗報です。私たちの子供ができましたよ。これで私たちは親の仲間入りですね』
『一度だけで?!』
『ええ、一度だけで、です。素晴らしいことですね。どうやらケアヒ義父上もアルゴル義父上を一度で孕ませていたようですし、貴方もその血を継いでいらっしゃるのでしょう』
両親の性事情は別に知りたくなかったな。これもスラニの恵みなんだろうか?
夫夫の蜜月は数日だけで俺も親の仲間入りか……子どもはなんでも汚すのに、イザヤは本当に大丈夫なんだろうか?
俺も今のうちに育児本を読んでおこう。そしてイメージトレーニングもしておこう。
まあきっと何とかなるさ。今までだってなんとか乗り越えてきたんだから!
そんな感じで始まる、イザヤとレイの幸せ育児シリーズです。
生涯の目標で子どもを欲しがるイザヤに、いつか吸血鬼としての子孫ではなくシムとしての子どもを作ってあげたくなったんですよ。
なぜイザヤが家族に執着するのかも書けたらなと思っています。
アップデート前の見切り発車なシリーズですが、完結までお付き合い頂けますと嬉しいです。
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