「エコ☆エコエイリアン」、「潔癖症の吸血鬼、転生する」のスピンオフです。
※ 当シリーズにはWerewolves GPのネタバレと、RealmofMagicGPの極大解釈が含まれます。
恒例のワンクッション
このシリーズはWerewolves GP出典の魔法使いと吸血鬼の歴史に関する情報を元に、筆者が妄想を膨らませた結果、生まれた話です。
また、今回はストーリー展開の都合上、RoMの三賢者に喋らせる描写が含まれます。
登場人物紹介
ついに骸骨形態をオカルトフォームと同列に扱い始めましたが、サンダーは普通の魔法使いです。
さあ、冒険の時間だ!
あらすじ
数百年ぶりの再会を果たし、ブランブルウッドで穏やかな生活を送るサンダーとミスト。
しかし、うっかり宿敵であるイザヤの順風満帆な様子を見たサンダーは今以上の幸せを求め、冒険を提案したのでした……
「幸せは競うものではない」とサンダーの意見に否定的だったミスト。
しかし、冒険好きな彼は旅行も大好き。口では文句を言いつつも、グラナイトフォールに到着した瞬間、尻尾をしまい忘れてしまう程ご機嫌になっていました
(単に尻尾Modがロード後の読み込みに弱いだけです)
『おっ!見たことねぇ薬草が生えてんじゃねえか!!』
見知らぬハーブを迷いなく素手で採取する胆力を発揮し、
『口ン中が焼けそうな痛み……あ~こいつはファイアーリーフだな!!』
迷わず口に入れて鑑定する恐れ知らず。
ベテランの登山家だって名称不明のキノコは口にしないと思いますよ?
『あまり嗅ぎなれない香りがこちらに届いているのですが……サンダー、貴方、一体何を焼いていらっしゃるんですか?』
『ん~?その辺で拾った昆虫を焼いてみてんだよ。時々カニやエビみてぇにウマい奴がいるから侮れねぇんだよな』
佃煮ならともかく素焼きはワイルドが過ぎると常々思うプレイヤーです。
『貴方が何を食べようと文句は言いません。ですが、キスの前には念入りに歯磨きをして頂けますか?わたくし、昆虫の味には興味がございませんので』
『それ、ほぼ文句言ってるようなもんじゃね?薪サンキューな』
スケルトン化で欲求が消えていたサンダーと違い、ミストはサバイバルを要求されていました。魚を生で食べていた頃と比べれば火を通しているだけ文明的なのかもしれません。
キャンプ場から足を延ばし、茨の奥に隠されたディープウッズに隠れ住む隠者から変わったハーブ薬の知識を得たりもしました。
今気付いたのですが、隠者さんCCヘア使っていますね。ランダム無効が仕事していません。
『よおサンダー、冒険には満足したか?』
『大満足です。未知のハーブ薬を専門家にご教授頂けましたし、薬草の生息状況も学べました。やはり知識というものは机上論だけ済ませてはいけませんね。自らの足で現地に赴かなければ』
『お前なぁ……それ、冒険じゃなくてフィールドワークじゃねぇか』
『無神経な方ですねぇ。本と電子の海で知的好奇心を満たしていた過去のわたくしからすると、自らの足で外に出ている時点で既に大冒険なのですよ?』
『はぁ~ヘンフォード・オン・バグレーはまだ冷えんなぁ。体温がおかしくなりそうだぜ』
『そうですね。では次はもう少し暖かな土地に行きましょうか』
『……帰ってきたばかりだってのに。まだ出かけんのかよ』
冒険:おかわり
『今度はセルヴァドラーダか!俺が罠を壊しても文句言うんじゃねぇぞ!』
『では蔦の除去でもお願いしましょうか。文献によるとオミスカ寺院に繋がる門はジャングルの自然にも守られているようですので』
もちろんアートさんも一緒ですよ。
前にペットを預けて旅行に行ったところ、病気になって帰されたのでなるべく同居させたいんですよ。
デフォルトのレンタル区画を平屋に改築したのですが、探索メインになるのでほぼ使いませんでした。
改築に費やした時間ェ……。
(あれがマドレ・コセチャの像……彼女の像が作られるまで、一体どのような出来事があったのでしょう)
『サ~ンダッ』
『いつ出発すんだよ。日が暮れて来たぜ?(誘惑する)』
『全く……貴方も彼女の銅像を拝んでおいた方が良いですよ、ミスト。寺院の呪いは我々魔法使いの扱う些細な呪いと異なり、確実に命を蝕む危険な代物なのですから』
『解呪の恩恵があるらしい銅像なんだろ?しっかり見てるって』
ミストの行動キューは銅像を見ているらしいのですが、視線の方向が逆なんですよ。
サンダーがマドレ・コセチャに見えるんですか?
(「呪いとか何とか言ってどうせ毒矢だろ?避けりゃ良いだけだって!」とか思っているんでしょうね……優れた身体能力に胡坐を掻く、傲慢な吸血鬼達ですら非力な魔法使いの謀略に敗れたのですよ?わたくしが彼を守らねばなりませんね)
(あいつ……ジャングルのワニに追いかけられたら逃げられんのか?いざとなったら俺が担いでやんねぇとな)
方向性は違えどお互いを守る気ではいました。
なお、今はセルヴァドラーダ文化を上げるための爆食いタイムです。食べれば食べる程、異国の文化や言語に詳しくなる料理。リアルに欲しい。
何はともあれジャングル探索
夏場とは言え、ジャングル探検家ビギナーの格好ではありませんでした。
青白い生腕が虫食いだらけになりそうです。
廃墟と化した野営地からコッソリ遺物を頂こうとした結果、獣の様な目をしたシムから逃げ惑う羽目になったようです。勝手に拾うからですよ。
“獣の様な目のシム”から逃げ回った後、“獣のような走り方のシム”との合流には平然としていました。
プレイヤー的にこっちの方が怖いと思います。
『っはー……すげぇ滝と建物だな。あれがオミスカ寺院か?』
『その一部でしょう。寺院は地上だけでなく、地下深くに根を張っているとのことですから』
『いいじゃねえか。ワクワクしてきたぜ』
『興奮するのは構いませんが暴れぬよう、理性の手綱をしかと握って下さいよ?わたくしは本気の貴方を取り押さえられる怪力を持っておりません』
『ッダーちくしょう!また火かよ!!』
発掘で考古学スキル上げをしようとしたところ、ミストはメラメラ虫に襲われました。
初めてデフォシムの住居にお邪魔したら火事に遭い、ジャングルではメラメラ虫に遭うとは……どうやらミストは火と縁があるようですね。
『マジで虫が消えたじゃねぇか。文明万歳!!』
露天で適当に買ったドレイクのメラメラ虫中和剤、初めての大活躍。普段は使わずに売るアイテム筆頭でした。
『唯一のマシェットを……失いました……』
一方その頃。サンダーはマシェットを失って泣いていました。露天に売ってなかったんですよ。
選手交代。ミスト、素手の蔦払いです。
ただ二人とも園芸スキルが高いので速度は同じなんですよね。爪の鋭いウェアウルフ形態とか、筋肉量で速度が変わる隠し要素ありませんか?
『なあ!普通に手が痛ぇんだけど?』
でも貴方、自然治癒アビリティ持っていますよね?傷の治りが早いんですから頑張れるでしょう。
達成感から遠吠えしたところ、サンダーとミストの間に“大きな悲しいオオカミ”のメモリーが付いたりもしましたが
ジャングルを潜り抜け、オミスカ寺院の目の前に辿り着けました。
『あのよ……さっきのは』
『既に謝罪も弁明も頂きました。わだかまりが解けた後まで下手に出て頂いても鬱陶しいだけです』
「洗練された弁明」と「ウェアウルフであること」を他の話題の間に挟んでマイナスメモリーは解消済みです。
『再会したばかりのサンダーより洒落てる骨が多いな』
メキシコタイルばりにカラフルなスケルトンは流石に墓地でも浮くと思う。
各々仕掛けを調べ、罠を解除していきました。
必要なスキルがほぼ考古学以外、軒並み育っていたのでサクサク進みます。
『ふふふ、ははは……はーっはっはっはっ!埃とカビの臭いが充満し、羽虫が飛び回る遺跡を歩むなど潔癖症の坊ちゃまでは不可能でございましょう!ですが!わたくしは可能ですのでこの通り!!古代オミスカ神話に伝わる秘宝すら入手致しましたよ!』
(大分ミタさんの面が強く出ている)サンダーは特に大きな支障もなくオミスカ寺院を攻略し、興奮から強く握った拳を天高く突き上げました。
『ミスト、貴方も探索用の装備を着ていらっしゃいませんでしたか?なぜ脱いでいるのです?』
『良い感じの池(プール)でひと泳ぎしてきたんだよ。ここ、埃っぽいだろ?』
『……濡れていると更に埃が肌に付きませんかね?』
探索に飽きたミストがプールに逃げるため、頻繁に服装を着替えさせる手間が生じる程度の問題ならありました。この犬(狼)、水辺があるとすぐ脱ぐんです。
『アート、すっかり留守の守りを任せてしまいましたね。寂しくはございませんでしたか?』
一度レンタル区画に戻り、留守番をしていたアートにご飯を上げてから家に帰る予定でした。
イッヌ、すぐプールに入る。ミストもプールに入る。
サンダーは旧友ではなく捨て犬を拾ってしまったのでしょうか?
日常と冒険の往復
サンダーは自分の代わりになる目と耳を得ようと、レイブンウッドから取り寄せた烏を手懐けることにしました。
今の彼はまだこの烏にただの餌やり機としか思われていないでしょう。
ですが、この賢い鳥類と確かな信頼関係が築ければ普通のシムでは手に入れられないゴシップ情報だって手に入る筈なのです。
『なぁ、お前はこの先のこととか……興味ねぇの?』
『ちょ、ちょっと!くすぐったいじゃないですか。この先、ですか……?』
二人は一度もウフフをしたことがありません。
自律に任せたところ、恋愛スキルをマスターするまで自律でいちゃ付き、健全な恋愛のダイナミクスを構築していました。
『俺は……可能ならこのままベッドにお前を連れ込みたいよ、サンダー。お前になら抱かれたって良い。互いにふたりぼっちの今だからじゃねえ。昔からずっと想っていたんだ』
『ミスト……』
『君は……本当に馬鹿だな。私より見栄えや性格の良いシムなんて、それこそ星の数ほど居るだろうに……なんだって私なんかに執着するんだ……』
サンダーはミストが生きている可能性など考えたこともありませんでした。
あれほど帰りたかった故郷も、夢に見るまで思い出さずにいたのです。
『そんなに俺の告白に驚いたのかよ?喋り方が元に戻ってるぜ。俺は、お前だから良いんだ。他のシムなんか興味ねぇの』
『別に……貴方の執念に引いただけですよ。わたくし、ドン引きです……その、返事は保留してもよろしいですか?まだ、欲求のある体に慣れないのです』
悪態を吐きつつも、サンダーは自分を抱き上げる腕を振りほどくことはしませんでした。
(愛おしいという感情の先をすっかり忘れておりました。わたくしはミストとどのような関係になりたいのでしょう?……問答無用でベッドに連れ込んでくれれば良いのに、等と思ってしまう己が居るのも恐ろしい)
ジャングル探索ばかりですと愛犬との時間がなくなりがちです。
家に居る時、サンダーもアートとお散歩に出かけていました。
そして再びジャングル探索。
サンダーはどうやら遺跡でも血を吸う蝙蝠と縁があるようです。
前回の探索中も実はブラッドコウモリに襲われていました。画像を撮れたと思ったら撮れていなかったんですよ。
『貴方また……サンダー、ここは遺跡の浴場跡なのですよ?水質の安全性も定かでございませんのに』
『いーい気分だぜ。蒸し暑いジャングルから一気に天国って感じだ』
今回はオミスカ王族の浴場跡を見つけました。
なぜまだ水が張られているのでしょう。ボーフラ対策が心配になってきますが、まあシムズだし。ゲームですし。
ひとしきり泳いで、とても健全な水遊びをした後。
プールの傍でイチャ付いていたら何故か居るアートさん。
どうやら浴場跡に移動するロードで付いて来てしまったようです。一度レンタル区画に戻り、翌日に寺院探索をしました。
帰宅後、アートとジョギングしていたらブーメランパンツでリードを掴んでいたミストの図。
今度、ジョギングコースを眺めて脱ぐ地点を確認しようと思っています。
言いたいことが言えないなら、飲むしかあるまい
『ミスト、受け止めて下さい」
『うぉ!?さ、さ、サンダー??どうしたんだ?』
(あ、俺の酒を勝手に!……ネクターだぞ?そんなに度数高くねぇだろ?)
『私は自分の感情を出すのが下手になっていたんです……なのに、貴方ときたら前と変わらない。いえ。むしろ悪化しています。なーにが「お前なら抱かれても良い」ですか!』
食事すら久々の体はアルコール分解能力も下がっていたようです。ワインをひと口飲んだだけでサンダーの口は彼の体重以上に軽くなっていました。
『なんだ。お前はエロイことしたくないタチだってのか?』
『関心がある様なので困っているのですよ!前は……骸骨だった頃は無縁の欲求でしたのに!ミスト、貴方は本当に私に抱かれたいのですか?それとも私相手では機能しないから抱かれることに妥協しているのですか?』
『エロイ気分になってたのいつだよ……なあ、姿勢変えねぇ?お前の顔をしっかり見て話したい』
ミストは今のサンダーが本当に酔っているのか、それとも普段と同じように昔の自分を再現しているのか判断に迷っていました。
演じるのが得意になっていた彼があえてそう振舞っているとしたら、それだけ自分の発言が彼の負担になっていたという可能性もあります。
『ひとつずつ誤解を解いていくぞ。まず、俺はお前で普通に勃つし、なんなら……その、白状するとヌいてた。抱く側にだって回りてぇ。でも、今の俺はシムの姿でも力加減が下手なんだ。だから、お前に抱かれる側に回りたいっつーこと。分かったか?』
『……この痩せ衰えた体でも機能するのですか?』
『するが?』
真顔で断言され、サンダーはアルコールと羞恥心から赤くなってきた顔を隠そうとしました。しかし、腰を掴むミストの太い腕は怪力を自負するだけあって硬く、逃げることを許してくれません。
途方に暮れたサンダーが『せめてベッドに行きましょう』と告げて、やっと腰のホールドは解けたのでした。
『お前の寝巻、他になかったのか?』
『なんだって良いでしょう。保温性重視なのですよ』
二人の関係がいつまでも健全過ぎたため、焦れたプレイヤー。指示してウフフをさせたってだけの話です。
関係の相性も良くて、デートにも行っていて、恋愛系のメモリーも付いていました。
なのに一度も自律ウフフが入らないんですよ。
当ブログでは健全過ぎて逆に不健全です!
旅先にて予想外の来訪者
三度目のジャングル探索中のこと。
寺院の中でもイチャ付くのはウフフ解禁前からありました。ここまでスキンシップがあってなぜ致さないのか。
あー困ります!使い魔ではないペットのお客様、困ります。
寺院は犬に優しい区画ではありません。どちらかと言うと厳しい区画です。レンタル区画に帰りましょう。
この時、もしかするとアートさんはサンダーに来客を知らせに来たのかもしれません。
だって彼はとても賢い犬ですから。
(見知らぬ声がすると思えば……まさか、わたくし以外の魔法使いが居るなんて!)
なお聞こえたのはアートさんに怒鳴りつけている声です。
アートさん、目が座り過ぎてチベット砂キツネめいた顔になってらっしゃる。
『お初にお目にかかります。わたくし、ミ……ゴホンサンダー・トールマンと申すものです。貴方様のお名前をお訪ねしてもよろしいですか?』
『随分と堅苦しい話し方をするのね。L.ファバよ。気楽にして頂戴』
『夜も遅いですし、言葉を選ばずに問う無礼をお許しください。ミス・ファバ、貴女は魔法使いですね?魔法はどこで習っていらっしゃるのでしょう?……魔法の国。魔法使いの住む場所は、残っているのでしょうか?』
『随分と変わった質問ね?サンダー、貴方も魔法使いでしょう?魔法の国を知らないなんて、どこで魔法を習っていたの?』
『……そうね。グリマーブルック・ウォッチ近くの大きな滝つぼ。全てはそこに行けば分かる筈よ。楽しみに待っているわ』
そう言って彼女は去って行きました。
『ミスト!朗報ですよ!私以外の魔法使いが……貴方、また水浴びをしていたのですか?もう秋だというのに。風邪をひいても看病して差し上げませんよ?』
喜びを共有するために姿を探し、室内に入ると待っていたのは水着姿の恋人。
サンダーは心配から思わず口が悪くなってしまいました。
『やったじゃねぇか!魔法使いが滅んだって話は聞いちゃいなかったが、俺もお前以外の魔法使いは見たことがねえんだ。俺らの村について、話が聞けんじゃねえか?』
『ええ、ええ。わたくしも胸のつかえが一つ取れました……ですが、それよりも早く服を着てはいかがでしょうか?そもそ、なんだってそんなに心許ない布を水着だなんて言い張っているのです』
ウフフなことしたことで、サンダーはミストのサイズを知ってしまいました。
今にでもブーメランパンツからはみ出ないか、気が気でありません。
『あ~あ~ったく……俺ら他人様に見せらんねぇ場所も見せ合った仲じゃねぇか。今更何も気にするこたぁなくね?それともムラムラしてんのか?』
『つまり、誘っていたとでも仰るのですか?今すぐ服を着て下さったら乗って差し上げても構いませんよ』
正直、どうでもいいから服を着て欲しいとサンダーは呆れていました。ミストが体調を崩しては冒険も、故郷への帰還も諦めねばなりません。
大事な親友であり恋人の彼が元気でなければ、サンダーは完ぺきな幸せだと言えないのですから。
魔法の国
『これからグリマーブルックに行ってみようと思うのですが。貴方も付いて来て下さいませんか?』
帰宅後、幾つかの用事を済ませたサンダーはミストに魔法の国へ向かう提案をしました。
『あったりまえだ!お前が断ったら箒にぶら下がってでも付いて行こうと思っていたぜ』
『貴方、ご自分の体格を理解なさっていらっしゃらないのですか?墜落するに決まっているでしょう』
ちなみにミストの体、気になって確認したところ脂肪はマイナスで筋肉量は驚きの100%でした。ただの水では沈みそうな数値ですね。推進力だけで泳いでいるのかもしれません。
なおサンダーは脂肪・筋肉共にマイナスでした。どこに受肉したのでしょう。
(グリマーブルックの大きな滝つぼ……おそらく道が途絶えていた辺りでしょう。避けていた場所ですが、ミストが共に居るなら)
『おい、おい!サンダー……なんだあれ!?……前はなかったよな?』
『何を騒いでいるのです?この辺りは以前にも訪れましたが……』
ファバ女史が教えたのは遥か昔、家路を失った遠い過去に訪れた場所でした。
故郷への道を失った事実を突きつけられる不安から、サンダーは再び訪れることを意識的に避けていたのです。
『あれは……ミス・ファバ?なんですかあの建造物は!』
『門……みてぇだな。奥が歪んでなんも見えねぇ』
サンダーは、自分が両親たちの視点で物事を考えることを忘れていたと気付きました。
道が消えたなら、作れば良いのです。我々は“魔法使い”なのだから!
『ミス・ファバ!この門は魔法の国に繋がっている……!そうですね?』
『ええ、そうよ。そんなに興奮するなんて。貴方、本当に何も知らなかったのねぇ』
『興奮してるところ悪いんだがよ……その門、俺も使えるのか?』
魔法の力を失い、ウェアウルフと化したミストはゲートの仕組みをすぐには理解できませんでした。
故郷への帰路らしき門を見つけたのに。置いて行かれるのはあまりに寂しすぎます。
『ご安心なさい。このゲートは貴方でも使えますよ』
『あら、お熱いこと。行くならさっさとしたらどうかしら?日が暮れて来たわよ』
僅かな不安と、それよりも小さな期待を胸に。二人は魔法の国に繋がる門をくぐりました。
(不思議ですね……見覚えのない景色だというのに。故郷に居るのだと、帰ってきたのだと、体が感じているようです)
オーロラ色の空に包まれた、異次元を思わせる空間は不気味の一言に尽きます。
ですが、この空間はサンダーの帰還を喜ぶように時折金色の粒子が飛び回り、散っていきました。
魔法の力が高まる感覚が、この地を故郷だと認識させているのでしょう。
(ここは、ふむ……住居跡地を商店街として再利用しているのでしょうか?おや)
魔法の国を好奇心に誘われるまま飛び回っていると、崩れた住居の区画を見つけました。
どうやら幽体のシムが店番を勤めているようですが、その中に生身のシムの姿があります。
『ごきげんよう。貴女も買い物に?』
『あら、こんばんは!ええ、薬の素材を見に来たの』
自分以外の、それも若い魔法使いの姿を見た瞬間。サンダーは視界が開けるような、解放感を覚えました。
新たな魔法使いが生まれるということは、少なくとも遠い昔から血を継ぐ一族が一つ以上残っているというこれ以上ない確かな証です。
砕けて散り散りになった世界のどこかに、自分たちの故郷に繋がるゲートがあるのかもしれない……期待を諦める程疲れた心に、小さな希望が宿るのを感じました。
『これは素晴らしい。魔法はまだまだ進化している様子ではありませんか!』
ついでに草臥れだした箒も新調しました。
雷鳴のような音を轟かせて浮上する……これは箒と呼んで良いのでしょうか?
箒(暫定)に跨ると放置してしまったミストの元に飛びました。彼のことです。きっと怒っているに違いありません。
『お ま え なぁ!俺を置いてピョンピョン飛び回るんじゃねぇよ!!』
サンダーの想像した通りミストは怒っていました。ですが、想定よりは控えめです。
『誠に申し訳ありません。想像した姿とは違う故郷の様子に浮かれておりました』
『全く悪いと思ってねぇな?まあ浮かれんのは分かるけどよ?』
『……俺らの村もどこかにありそうだったか?』
『いえ。箒で上空から見回しましたが、肉眼での確認は難しいでしょうね……文字通り大地が砕けておりましたので』
『そうか……』
(故郷で告げられた方が彼は喜ぶのでしょうが……しかし、我々の知らぬシムしか住まない土地は、果たして故郷と呼べるのでしょうか?)
サンダーが故郷を探すことに専念しなかったのは、道が途切れていたのを目撃したのもありますが、時間の流れにもありました。
二人の周りには、両親だけでなく妹すら世を去るだけの時間が通り過ぎています。
探している故郷が今の魔法の国に変化した。そう告げられてもサンダーは納得していたでしょう。
『ミスト。わたくしはこの通り、性格が酷く捻くれてしまいました。ですが、誓いに忠実な性根は変わっておりません。どうか結婚して頂けませんか?』
『へっ今?!』
魔法の国の現状を見て回ったサンダーからすると、今しかないと感じてのプロポーズでした。
ですが、ほとんど歩き回っていないミストは繋がりが全くもって分かりません。
『……やはり、骸骨と大差ない老人の指輪は手に取って頂けませんか。そうでしょうね』
『待て待て馬鹿野郎!貰うし嵌めるっての!ったく少しもボンヤリさせてくんねぇのかよ!!』
『当然でしょう。わたくしは一世一代の求婚を告げているのですよ?そんな一大事のさなかに呆ける貴方が悪いかと』
別にサンダーはミストが自分の求婚を断るなどと思っても居ません。
“ミストが今も魔法使いなら、この土地で感じる懐かしさを共感できたでしょうに”
変化を残念に思ってしまった罪悪感が、彼に卑屈な言葉を喋らせていました。決して望んでウェアウルフに変わった訳ではないと知っている筈なのに。
『絶対に、幸せにして差し上げますよ』
かつて命を奪うために得た知識を全て彼のために使おう。
分厚い体を抱きしめ、サンダーは誓いました。
『そりゃ俺の言葉だ。俺のために幸せになってくれ……お前が笑顔ならよ、俺は幸せなんだ』
この手を二度と汚させない。
ミストもまた、サンダーと同じように決意を固めました。今の彼には魔法の力こそありませんが、恐ろしい外見と牙があるのですから。
骸骨再び
グリマーブルックに戻り、バーを訪れていた時のことです。
とても魔法の国って感じの素敵なバーはギャラリーからお借りしました。
『ファバから変わった新入りが居ると聞いたけど君のことかな?』
『失礼。貴方は?』
『モーギン・エンバーだ。また魔法の国を訪れることがあれば私を探してくれ。案内くらいはできるからね』
『お心使い感謝します。魔法の腕に自信はありましても地の利はございませんので、どなたかに道案内を頼もうと思っていた次第です』
『ははは。本当に硬いんだね。もちろんさ。道すがら君の知識も教えてもらおうかな』
この後シメオン先生も見かけたのですが、頭から爪先まで立派な騎士様だったので挨拶はやめておきました。騎士ナイトが始まってしまったんですよ。
『まだ酒飲めてねぇのに』
『仕方ないでしょう。フルプレートの重みで歩けなくなったわたくしを担いで歩くおつもりですか?』
『は?!担げるが?担いでヘンフォード・オン・バグレーを走り回ったって余裕だが??』
バグレー横断フルマラソンでも開催する気でしょうか。
『マラソンをなさるならお一人でいってらっしゃいまし。わたくしは先日見つけた神秘の秘宝を試してお待ちすることに致します』
『俺、お前にプロポーズされたんだよな?あれ夢じゃねぇよな?』
婚約者が塩過ぎる件について。ってタイトルで本を書けば良いと思います。
『おや?この……馴染む空虚な感覚。これは……』
『骨だな。しかも地味な方の』
『サンダーお前ってマジで骨に戻っても違和感ねぇのな!』
『ふふふ……貴方こそわたくしのプロポーズをお受けなさったんですよね?よろしいんですか?婚約者が骨で』
『別に良いんじゃね?つーかもっと肉を食えよ!普段が骨と変わんねぇんだよ!!』
黄金のバラムパルソーの死の秘宝を持たせて定期的に骨化させたくなりますね。黄金版は通常の秘宝と違って使用回数が無限ですし。
冬なのでコモレビ山旅行。
器用にミストが箸でおでんを掻きこみ、
アートさんが雪で大はしゃぎでした。
『使い慣れればコモレビ山のカトラリーも便利でよろしいですね。複数の食器を出さずに済みます』
『コモレビ山に隠れ潜むニンジャって奴らはこのハシを暗器にも変えるらしいぜ』
『それは流石に作り話ではありませんか?……いや、使い方を工夫すればあるいは……』
ニンジャ=サンは冷酷無比かつ万能の隠密ですからね。不可能なんてありません。
ミストだけ爆速でスノーボードスキルが上がって驚きました。
当時は疑問に思っていたのですが、もしかすると月齢でフィットネスにバフがかかっていたのかもしれません。
サンダーも少し遅れて綺麗なフォームに変わっていました。
ただ、スキーもスノーボードもあまり気に入らなかったようでソリ遊びをしたがります。
ミタさんなら見たかったのですが、(ミタだけに)……温泉行きましょうか。
宿泊二日目は冬祭りでもありました。
今回は屋内の暖炉から来てくれましたね。よかった。
『ダハハハ!!ファーザーウィンターの真似すんにゃ腹の厚さが足りねぇな!』
『コンパクトでよろしいではありませんか……もう少し筋肉は付けようかと思わないこともありませんが』
腕力も求められる機会が増えてきましたからね。ベッドの中とかで。
『なんだこの犬は!ワシはプレゼントを置きに来たんじゃよ!邪魔をするんじゃない!!』
ファーザーウィンター、アートさんに怒鳴りつけましたね?
『先輩になに怒鳴りつけてやがんだこのファッキンウィンター!!』
『なっなにをする!?やめっやめなさい!!』
プレゼントを求めてバトル開始です。
最初は冬の父を無視をしようと思ったんですよ。二人には冬祭りを穏やかに過ごして欲しかったんです。
なのに冬の父がアート先輩を怒鳴ったせいで、喧嘩を買わずにはいられなくなってしまいました。
『二人とも何をしているのです!ここは持ち家ではなく借りものなのですよ?フローリングに傷が付いたら弁償せねばならないでしょう!?』
そういう話ではないのですが、残念ながらここに良心あるシムは居ないのです。
『先ほどはわたくしの婚約者が失礼しました。仲直りに握手を致しましょう』
『話の出来るシムも居たようであんしッデェ!?この握手、やたら痺れないかね?!』
サンダーだってアートを怒鳴られて良い気分はしていません。
あんなに可愛いモフモフを理不尽に怒鳴りつけるなんて、天使に中指を立てるような所業です。仕返しに電気握手をしておきました。
『先輩はリフト乗るの無理じゃねぇかなぁ……?別の道に行こうぜ』
ユキマツエリアもお散歩が不安定ですね。帰りましょうか。
波乱万丈な大晦日
『おっと首が』
『怖ぇ!マジで怖えぇ~~~!!悪かったって!謝る!謝るからそれ止めてくれよ!!』
『原因不明の謝罪はおやめなさいな。言葉の価値が薄れても知りませんよ?』
秘宝を試していたところ、サンダーがターコイズブルーの骸骨に変わり、ミストを延々と脅かしている図。
幸いにも午前零時のカウントダウン前には受肉した姿に戻っていました。
『ミスト、貴方のお仲間が叫んでいらっしゃいますよ。応えてあげてはいかがです?』
『俺は犬じゃねぇからな?つーか、なに言ってんのか分からねぇ遠吠えにゃ応えられねぇって』
『お前が骨ン時に記念撮影しときゃよかったか?』
『幽体離脱して今からでも再現しますか?』
不死の薬で失敗を引くと幽体離脱ができるんですよね
確か薬を呪えば確実にハズレを引けた筈……そのためだけに作るには素材の無駄使いになりますが、在庫処理ついでに魂の道を進めるのは手かもしれません。
たわいもない雑談をしているとカウントダウンの時が来ました。
『サンダー、来年もよろしく頼むぜ?』
『ええ、ミストも』
誰かと来年の話をできるなんて、去年の二人には想像すらしなかったでしょう。
『それでよ。アイツはいつ帰るんだ?聞いて来てくんね?』
『古代オミスカ語はわたくしも存じ上げませんので難しいですね。いつかは還ると思いますよ?』
『その“いつか”が分からんねぇから困ってんだよ。アイツ、何かと俺を脅してきて怖えんだって……』
お手伝いガイコツがなかなか帰ってくれません。
そしてなぜか主にミストが骸骨流に脅かす被害に遭っているんですよね。この家の中で序列が最も低いのかもしれません。
ディナーパーティで「クランプルボトム!!」
『ファバ女史、急なお声がけに応えて下さりありがとうございます』
『ふふ、楽しみ。どんな美味しい料理を食べさせてくれるのかしら?』
意地悪で美食家……尖っていて良いですよねぇ。貶し合いパーティーにお招きしたい。
家具の配置に失敗してギチギチになってしまいましたが、ディナーパーティー自体は問題なく進みました。
今回お招きしたシムは魔法の国と、ヘンフォード・オン・バグレーでサンダーとミストがお世話になっているデフォシムの皆さんです。
『話し込んでいたら遅くなっちまったな』
『ディナーパーティーにしては早い時間でしたし、丁度良いのではありませんか?』
二人は盛大な結婚式を開く気などありませんでした。
とは言え、二人きりでひっそりデート中に誓いを立てるのも寂しい気がします。
ディナーパーティーの賑わう声をBGMに、結婚の誓いを建てることにしました。
パーティー中、主催者たちが急に結婚の誓いを建てられても困る気もしますが。
『お慕いしております。ミスト、貴方の永遠にわたくしを伴侶として付き合わせて下さい』
『お前が居るなら退屈している暇もなさそうだ。後悔させねぇよ』
『そのような大法螺吹いてよろしいのですか?……この先に何が待ち受けていようと、後悔などしませんよ。わたくしは望んで貴方の傍に居るのですからね』
サンダーとミストは新年の始まりと共に結婚しました。
不死のウェアウルフであるミストと、不死の薬を飲んだ魔法使いのサンダー。二人はいつまでも幸せに暮らすのでしょう。
『誓いまでは目を瞑ってさしあげました。ですが、ディナーパーティー中に破廉恥な行いは許しませんよ!』
『ま、待ってくれ!』
(この婆さん遠当てしてきやがる!!何者だよ!っつーかあの鞄何入ってんだ??ほっせぇ婆さんなのにグレックより怖えぇ!!)
狭苦しい室内のせいでアグネス女史が気功術の達人と化していました。
状況変化により延長戦持越し
サンダーは定期的に烏の群れをイザヤ・ブラッドレイの元に送っていました。
字面だけ読むと一方的なストーカー行為ですね。
『あの吸血鬼の結婚相手がエイリアンとは……ふ、ふふふ。さぞかし悔しがっていらっしゃるでしょうねぇ!……しかし、これでは公平な勝負にならない気もしますね。そうは思いませんか?』
サンダーはミストと幸せな日々を過ごしています。
夢だと疑うには少しばかり刺激が多いため、現実的で少し風変わりな幸福に溢れていました。
エイリアンは住む星が単なる以外はノーマルシムと変わりません。このまま放っておけば時間経過でサンダーの幸せ勝負は勝ち越し確定でしょう。
ですが、それでは公平性に欠けている気もします。
なによりあの面倒な吸血鬼の手綱を握るシムを失うのは些か惜しく感じました。
(何も貴方様に塩を送る訳ではございません。これは、懸念事項を消すための……保険です)
サンダーの体には濃くウェアウルフの臭いと気配が染みついていました。
郵便局を利用しては消印から現住居を明かすことになりますし、直接投函しに行っては確実に気配を察されるでしょう。
手紙を宙に浮かせ、遠隔投函する以外の方法はなかったのです。
《 風よ、我が声に応え給え。彼の地に我が便りを届けよ 》
小声での詠唱と共にゆっくり浮かんだ手紙は、静かに郵便箱目掛けて飛んで行きました。
『貴方様も、いつか変われると良いですね……さほど関心はありませんが、勝負は張り合いがなければ面白みに欠けますので』
元主と従者のシム生は二度と交差することはないでしょう。
ですが、もしかするとどこかですれ違うこと位はあるかも知れません。
お互いに終わりのない道を望んで歩み、広いようで狭い同じ世界に住んでいるのですから。
End.(Happy ! )
あとがき(という名の言い訳)
誰ですかウェアウルフロアとオミスカ神話を使って話を作ろうって言ったのは!
せめて追加パックで古代ミシュポタミアの全貌が出されてから混ぜなさい!
最後までお付き合い下さりありがとうございます。筆者こと烏ガラスです。
前にも修羅場のためにナイトクラブを建てましたが、村を建てるのは初挑戦でした。
いつもブログのために初挑戦が増えている気がする。
最初はガワだけで中身も作る予定もなかったのですが、ハウジング中に楽しくなってしまい控えめながらも内装が増え、同時に書く予定のなかった話も増えました。
内装がなければミストはサンダーに告白のために再会を約束する話もなかったでしょう。
窓と机を隣接させた時に思い付いたネタでした。
ちなみに、撮影し忘れていたのですがアートさんはサンダーの使い魔になっております。
これでいつまでも一緒ですね。
他にも書けなかったこぼれ話があるにはあるのですが、どこかで書くか、四コマにでもしようと思います。
さて、最後になりましたが
旧Twitter(X)でリプや引用RTで感想を下さった方、
拡散して下さった方、
暗い始まりだったシリーズを最後まで読んで下さった方、
本当にありがとうございました!
次回はエコエイリアンSeason2を予定していましたが、未定です……シムフレさんからお借りした賃貸も遊んでみたいんですよ。
また新しい話が書けたら様子を覗きに来て頂けますと嬉しいです。
烏ガラス

































































































































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