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モンタギュー家の肖像画【Epilogue4】:ブランチみたいな関係

2026/01/19

 これは少年の願いが叶った後の物語。

──老人の肖像画が、家族の肖像画に戻るまでの後日譚

(当社比)最も妖精らしくない妖精


ウィル坊やがティーンへ成長したということは、妖精の姿が解禁されたということ。
ですが、疑り深い現実主義であった前世を思い出した彼が華やかな妖精の羽なんて持てる訳がありません(プレイヤーの偏見)。
「え、妖精?吸血鬼じゃない?」系妖精の爆誕です。これ妖精フォームなんですよ。

さて、前世の記憶を取り戻したウィル坊や。いえ……もうウィルですね。

ウィルは(混乱しつつ)記憶を取り戻したことを隠し通そうと決めました。
冥界という言い逃げ可能な逃げ道があったからこそ、彼は我儘でブラムを傷付けることができたのです。なのに、まだこの世に自我があるなんて予定外の大問題でした。今更どんな顔をして老いた伴侶に笑いかければ良いのか分かりません。

知らぬ存ぜぬ可愛いウィル坊やの振りをして煙に巻くしかないでしょう。

ウィル「……ごめんブラム。僕、間違って転生したみたいなんだ(ブラムお爺ちゃんおかえり。変な顔してどうしたの?)」


ウィルはピュアッピュアなウィル坊やの振りをしようと思っていました。
そのつもりで口を開いたのです。

ですが、ブラムじいちゃんに育てられたウィル坊やとしての記憶が、大好きな爺ちゃんに嘘をつくことを激しく拒みました。ブラムの顔を見ると用意しておいた「ウィル坊や」の台詞を押しのけて本音がツルっとこぼれていたのです。

2人のウィルの記憶が混ざった弊害ですね。ブラムへの好意もカフェオレのミルクと珈琲のように混ざっています。

ウィル「……あと、そのー……ひさしぶり?だね。髪、染めたんだ。似合ってる、よ?」

ブラム「……どういうことか、最初から説明してもらっていいか?」

おそらく自分は怒りたい状況だと思われるが、なにがどうなっているのか分からない。正当ない理由で怒りたいから説明してくれ。
ブラムはそう思いました。このせっかち、理路整然とキレようとしている。

ブラム「……つまり、転生するつもりはなかったのに転生していたと?そんなことあんのかよ」

ウィル「あるから僕はここにいるんだよ。僕も冥界に旅立とうとしたんだ……なのに気が付いたら鏡を見ていて、君に育てられた記憶まで混ざり込んで。混乱しそう!」

ブラム「俺も混乱しそうなんだが?」

ブラム(玄関を開けた時、ウィルJrをウィルだと錯覚した自分を殴りたくなったが……俺はこいつをウィルだと思っていいってことだよな。俺は……もう、待たなくていいんだよな?)

ウィル坊やがティーンに成長した時、今後の生活を考えて何気に気が重くなっていたブラム。
なんなら寝室を別けることも視野に入れていました。息子の様に可愛がっているシム相手に不埒な感情を持つなんて、道徳感だけはまともな彼にとって許せなかったのです。

ファーザーウィンターに喧嘩を売り、ノームをサッカーボール代わりに蹴っておいて道徳を語るか。

ウィル「僕のことは許さなくていいんだ。でも、育ててくれた恩返しができるまでで良いから……まだ、この家に置いてもらっても構わないかな?育児のために奪った時間を返すことはできないけど、ウィルJrを育てるのに使われたシムオリオンを稼いで返せるようになりたいんだ」

ブラム「死んだ後もドジる不器用のくせにシリアスぶってんじゃねえよ!アホウィル!許す訳ねえだろ!!とっとと育って俺と結婚して責任をとりやがれ!!」

ウィル「……っ君は馬鹿だ!!あんなに傷付いていたくせに。ウィルJrの前でも泣きそうな顔をしていたくせに!結婚できるようになるまで育つからちゃんと待っていてよね!!」


という訳で。
今後、ウィル坊やはウィル・モンタギューとしてブラムと同居を続けることになりました。
体はティーン、頭は老人。別に名探偵ではありません。


実は加齢のタイミングが土曜日になってしまった都合により、またもウィルは高校未登校でプロムに参加させられていました。ハロウィンに死者の霊を帰したかった……それだけのためにカスタム祝日を作りました。そしてプロムパーティーの存在を忘れました。

ウィルが項垂れているように見えますがダンスをしているだけです。別にいちゃいちゃする相手が居なくて悲しい訳ではない……そう思いたいところ。

デフォシム同士のソーシャルダンスに興奮したプレイヤーがつい撮影してしまったんですよ。ローハン君とウォルフガング君……おいしいかもしれません。でも接点がないし関係を維持するには努力が必要になりそう。
いえ、なんでもありませんよ。


プロムから帰ってきたその日の夜。泥棒に侵入されたりもしました。


夜更かしをしてプログラムの指導をしていたので2人とも起きているんですよ。シムが起きているのに侵入するなど、迂闊な泥棒です。
せっかち爺さん、また指示を無視するか。

なんと
ブラムに
指示が通りました

洗脳している顔が吸血鬼というより邪悪な魔女ですけど、ついにブラムが命令してくれました。前はプレイヤーの指示を無視して喧嘩していたのに……脳筋を卒業する気ですか?


もう来ない方が良いですよ。まだ育っていませんが、この屋敷には妖精もいます。

お前ほど器用なシムはいないだろう


ウィルがブラムを唐突に「不器用な人間」だとからかっていました。不器用なウィルが?


シンクで食器を洗うと確実に割るのにいつも食器洗い機でなく、シンクで洗って(割って)いたウィルが?

ブラム「まあそうだな……私はお前ほど器用にカップを割れそうにない(ウィルJrみたいなことを言いやがる。記憶っつーか自我が混ざってんのか?)」

ウィル「へへへ」

ところでブラム爺さん、また勝手にネクターを飲んでいますね?吐いても知りませんよ。

ブラム「だから私より器用になってくれ(器用さスキルを指導する)」

ウィル「そういう意味じゃなかったんだけどな。ノコギリの使い方も忘れているから助かるよ」

転生したシムは転生前と同じシムなのか。
関係性は元に戻せても、自律行動に差があるように感じます。ウィルとウィルJrの場合はオカルトを変えた影響もあるでしょう。妖精はジョークソーシャルが好きですからねぇ……。

ウィル(『前』はブラムも一緒に通えたのに……新しい友人を作ろう。高校で1人は寂しいよ)

ブラムへの片思いを隠さなくていい代わり、今は1人で通わないといけません。友人が作れても、自分を引っ張ってくれた幼馴染の欠けた高校生活は少し寂しく感じました。

しかしブラム爺さんは本当に器用ですね。
ソファ越しにテレビを見ている様です。そんな低い位置からテレビ画面が見えているんですか?


体調を崩した?じゃあ体を鍛えよう(脳筋なため)


ウィルを1人で高校に通わせたら笑い発作(Get To Workの病気)を貰って帰ってきました。とりあえず市販薬で治療し、ブラム指導の下、フィットネススキルを上げましょう。
筋肉は全てを解決します。鍛えているシムの方が病気にならない……と考えるプレイヤーこそ脳筋かもしれません。蛮族ゲーム出身なので今更でしょう。

ウィルに健康スキルも上げてもらおうとスパに来たところ、ブラムが瞑想中に冬の父を許すことにしたそうです。少しだけ赤い友好度が減っていました。これはブラムが許しても冬の父が許していませんね。当然だと思います。

ただ、ブラムにはもう1人許した方が良いかもしれない相手がすぐ隣に居ますよ。エルリックさんとも友好ゲージが真っ赤なんです。隣に居たのに一度も会話をしていませんでした。


スパでヨガ教室を受けた翌朝。
少し厚くなった体で自慢げに自撮りしていますが、夜更かしして鍛えた体は筋肉痛でギシギシです。
今日は冬の日で学校もお休みです。ゆっくりお風呂に入りましょうか。

ウィル「ツリー、保管してくれたんだね」

ブラム「一度、捨てようとしたんだけどな……子どもはこういうの好きだろ」

ウィル「ああ、そっか……僕も好きだから、また君と飾れて嬉しいよ」


ブラムはウィル坊やと飾る日を想像してツリーの手入れをしていました。
自分も楽しい時間を過ごせたからこそ、その楽しさを息子の様に可愛がっていた坊やと共有したいと思ったのでしょう。


絶対に動作が揃わないジングル・ベルの合唱。
ウィルは歌唱スキルも育てなおしですね。

ウィル(あっ……)

なんだかんだしていたら時間は21時。ツリーの奥にウィルは丁度昨日、瞑想中にブラムが思い出したシムの姿を見つけました。

ファーザーウィンター(秘密結社ファーザーウィンターの1人)です。

毎年来てはブラムのサンドバックになり、ぼんやりしたまま去っていく……このシリーズ最大の被害者かもしれません。

過去の被害履歴→第一戦第二戦第三戦 ……まとめたら予想以上に被害受けていました。

ウィル(もう、モンタギュー家をブラックリストに入れれば良いのに……)

本当にそう。秘密結社ファーザーウィンター、ブラックリスト入りの家庭をつくりましょうよ。
来なくなればプレイヤーもうっかりファーザーウィンター軟禁部屋を作る心配をしなくて済むので助かります……わざとじゃなかったんです。あれは悲しい事故だったんですよ。

ブラム「許さねぇならプレゼント置いていけやぁぁ!!」

冬の父「許すわけないだろう!!イッアイタタッ……だから髭を引っ張るんじゃあない!!!」

勝手に短気な脳筋を辞めるなんてプレイヤーも許しません。
なんのための筋肉量99、なんのためのアクティブ気質なんですか。ブラム、お前は今後も脳筋吸血鬼を続けるのです。

ウィル(なんでだろう。前はあんなに格好良く見えたのに……今は仲良くしてくれないのが悲しいし、怖い)

以前は喧嘩する様子を興味深そうに眺めつつ、ブラムが勝てばガッツポーズをして喜んでいたウィル。ですが、今は怯えたような態度を取っていました。

ブラム「ふん。レンジか……まあ良いだろう」

冬の父「アイタタタ……お前さん、いつまでその横暴な態度を貫くつもりだ?」

ブラム「さあな。今年は私はあんたを許そうとしたのにお前が許さなかった。それに腹が立っただけだ」

ウィル「ねぇ……もう喧嘩しないでよ……」

ウィル「プレゼントの宅配お疲れ様です。うちのブラムがすみません……」

冬の父「宅配ではないんだが……はて?前にもこんなやりとりをした気がするんだがのう」


ウィルの顔がプレゼントを貰う顔ではありませんでした。お詫びの品を渡しているのかと思いましたよ。

ウィル「もう喧嘩なんてやめなよブラム。君はもう若くないんだよ?見ていて怪我をしないか気が気でなかったんだから!」

ブラム「……前は応援してやがったの誰だよ」

ウィル「ジュニアに『なるべくシムと仲良くしろよ。じゃないと困った時に助けてもらえないぞ』って教えたのは誰?」

ブラム「はぁ……今後は気を付けるよ」


今ここにいるウィルはブラムに恋をしたウィルであり、ブラムを親として慕うウィルJrでもあるのです。模範となるべき育て親が喧嘩をしていたら良い気分ではないでしょう。

スクランブルエッグみたいにぐちゃぐちゃな情緒


ウィルは高校に通いつつゲームストリーマーとして配信活動をしていました。
アバターアイコンは自律型ロボ。ボイスをゆっくり音声に加工していそう。

ウィル(あっしまった……ああ~チャット欄も荒れ出しちゃったよ)

時々なにか失敗したように顔を覆ってるのもかわいい。配信前のゲームも実況プレイができるようで、実際それで炎上する時もあります。今回はやっていません。プレイヤーは過去の失敗から学習している(こともある)のです。

ウィル(エイム精度を上げるのに集中し過ぎて警戒が疎かになっていたのが敗因だね。次は視野をもっと広げた方が良い……チャット欄への対応も他の配信者を参考に要改善と。うん。文字に変えると気持ちが整理できて良いな)

お小遣いの稼ぎ方は時代を先取りしていますが心の整理手段がアナログな件。そう言えばウィルは前世でコンピューター名人になっていました。デジタル媒体の脆弱性を理解しているのかもしれません。

ブラム「日記を書いているのか?日課にするなんて偉いじゃないか」

子どもの行動は必ず褒めて伸ばすのが日課になっているブラム爺さんがログインしました。

ウィル「あのさ……僕は確かにウィルJrだけど、君の恋人でもあるんだよブラム。だからその……なんていうか、子ども扱いされると……気まずいんだ。注文が多くてごめん」

ブラム「いや……俺もつい癖で保護者の顔をしたが、何か間違えたような気分になったところだ。なんというか。難しいもんだな」


互いに交流方法の正解を探して試行錯誤していますが、人間関係に正解なんてありません。
納得できる交流を模索する日々が続いていました。

ウィル(ブラムまた胸が大きくなってない……?ていうかなんであんなに胸元を開いているのさ?!)

今日も放課後トレーニング中です。ブラムが追加でアクティブ気質を引き、筋肉量を日々増量していたのはウィルの転生後のこと。
ウィル坊やの育児中、隙あらばサッカーボールでリフティングしていたのでボールを没収し、ダンベルラックを家に設置していました。
ただ吸引力が変わらないため、プレイヤーが今も家のトレーニング機器を色々と調整しているところです。

ウィル(僕の体がティーンだってことを思い出してよ!ウフフ経験(知識のみ)があるティーンなんだよ!?やりたい盛りなんだ!若い体にその姿は刺激的すぎだって!!)

理不尽な我儘だと頭では分かっているので、ウィルは口にしませんでした。
代わりに青いうっ憤を拳に篭めて思いっきりサンドバックを殴ります。今の若過ぎる体に許された、唯一の発散方法でした。

ウィル「そのジャージ……」

ブラム「ん?ああ。買った時はサイズが丁度良かったんだけどよ。気が付いたらチャックが閉まらなくなってな………ダサいか?」

ウィル「へ、へえ……だ、ダサくはない、よ……(閉まらなくなるまで育ったの?!またムラムラしてきた。これだから若い体は!!)」


かつては恋人同士、今は義理の親子。
相手に向ける感情が複雑に入り混じっており、分けることなんてできそうにありません。
ですが、伝えたいことを伝えられない時は去りました。当時の悲しみに比べれば、2人の前に存在する問題は困難と呼ぶほどでもないのかも知れません。